第12回 草トーナメントの分析

相手チームを観察してゲームプランをたてよう

テニス歴が20年の椎津さんから試合のビデオが送られてきました。かなりのキャリアをお持ちの方で、質問の内容はメンタル的な悩みと、ポーチでした。しかし、実際に見てみると、相手チームを観察してゲームプランをたてることを忘れているようです。

 

クリニックしてもらいたい点

  自分のパートナーにポーチさせるには、どうしたらいいのか?

  テニス歴20年 東京都・豊島区在住 椎津 育子 女性・30歳

 

ダブルスでは特にゲームプランをたてることが大切だ

サービスキープ率の差が勝敗を決した

 週に5日くらいプレーしているテニス歴20年の椎津さんから、実際の試合のビデオとともに、自分より強い相手と思った途端に身体が動かないという悩みと、パートナーにポーチさせる配球の相談を受けました。
 下の図のように、椎津さん(A)とパートナーのBさん、対戦相手のチームをCさん(フォアサイド)とDさん(バックサイド)とすると、写真が示すように、椎津さんとCさんが左利きで、ともにフォアサイドでプレーするという珍しい組み合わせの試合でした。相手チームのDさんからサービスが始まる1セットマッチの経過は表1のようになります。両チームとも、練習量の豊富が一見して明らかであり、日本の女子ダブルスの典型的な試合であることがわかります。というのは、サーブ&ボレーに出ることが少なく、サービスのブレーク合戦を呈する試合だからです。

 表2は、この試合での4人それぞれのサービスキープ率を表2に示しています。結局、この表から明らかなように、BさんとDさんのキープ率の差が勝敗を分けています。

自分たちのチームの特徴を知ることが先決

 両チームの各個人の力に大差はありません。しかし、椎津さんのチームがこの対戦チームより上のレベルの相手に勝つには、現在のプレーの仕方では相当難しいと言わざるを得ません。その理由を一言で言うと、椎津さんのチームのプレーには、“ゲームプラン”が見られないからです。Bさんのサービスの矯正や左利きの椎津さんがフォアサイドでいいか等、長期的視野で取り組めば、相当のレベルアップが図れます。
 ゲームプランをたてるには、まず、自分たちのチームの特徴を知ることが必須です。椎津さんのチームの特徴を以下にまとめてみます。

1左利きプレーヤーがフォアサイドでプレーする珍しいチーム。

2椎津さんのバックボレー、パートナーのBさんのフォアボレーに難点がある。

32人とも、サービスのコースの打ち分けができておらず、Bさんのサービスが非常に弱い。

4スマッシュやハイボレーは上手である。

5ロブを含めて、高低差を利用するショットがきわめて少ない。

左利きのプレーヤーがともにフォアサイドという珍しい組み合わせの試合

椎津さんがサーバーの時の写真 椎津さんがレシーバーのパートナーの時の写真

ビデオを見ると、椎津さん(A)と相手のCさんがともに左利きでフォアサイドにいることがわかります。普通、左利きはアドコートにいた方がその優位性を生かせるのですが・・・・。ともあれ、このポジションで試合は始まり、椎津さんのチームはこのセットを落としてしまいました。

表1 試合はサービスブレーク合戦の末に椎津さんのペアが善戦空しく敗退

ゲーム
椎津さんのチーム
相手チーム
スコア
左の表1は試合の経過を示しています。ビデオを見てわかったことは、椎津さんの試合は典型的な日本の女子ダブルスだということです。つまり、サーブ&ボレーが少ないので、おのずとサービスゲームのブレーク合戦の様相を呈していました。
ブレーク成功 Dさんがサーバー
1−0
Bさんのサービスダウン
1−1
ブレークできず Cさんがサーバー
1−2
椎津さんのサービスダウン
1−3
ブレークできず Dさんがサーバー
1−4
Bさんのサービスダウン
1−5
ブレーク成功 Cさんがサーバー
2−5
椎津さんのサービスキープ
3−5
ブレークできず Dさんがサーバー
3−6

表2 4人のサービスキープ率を調べると、BさんとDさんの差が勝敗を分けた

人 名
サービスキープできた回数
キープ率
私は4人のサービスキープ率を調べました。その結果、左の表2のように、パートナーのBさんと対戦相手のDさんの差が勝敗を分けたことがわかります。また、全体を通して言えることは、椎津さんのチームにはゲームプランがないということです。
椎津さん(A)
2回中1回
 50%
Bさん
2回中0回
  0%
Cさん
2回中1回
 50%
Dさん
3回中1回
 33%

 


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